入浴剤の基本的な効果は、入浴そのものによって得られる温浴効果と清浄効果を高めることにあります。
以下では入浴剤の代表的な成分の効果とメカニズムをご紹介します。
さら湯はただのお湯なので、水質の成分(水を硬くするカルシウムやマグネシウム)が熱の伝わり方を強めたり、浸透圧の関係でお肌を刺激したりします。また、体に必要なミネラルや脂分まで奪い取ってしまうことがあります。敏感肌の方やお年寄り、幼小児の方などには、特に負担が大きいといえます。
入浴剤を入れるとお湯がやわらかくなり、肌への刺激も少なくなります。それだけでなく、入浴剤に含まれるさまざまな成分による保温効果や保湿効果も期待できます。さらに色や香りによるリラックス効果も加わることで、より快適でより健康的なバスライフを楽しむことができるでしょう。
このタイプの最大の効果は、塩類が皮膚の表面の蛋白質と結合して膜を形成し、この膜が身体の熱の放散を防ぐために、入浴後の保温効果が高く湯冷めしにくいということです。
このタイプは炭酸ガスの血管拡張作用を有効利用したものです。湯に溶けた炭酸ガスは皮膚吸収により容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけ血管を拡げます。血管が拡がると末梢血管の抵抗が弱まるので血圧が下がり、血流量が増えます。その結果全身の新陳代謝が促進され、疲れや痛み等が回復します。同時に温かい湯に入っているならば血液が体表面の熱を全身へと運び、身体の芯まで温まることになります。なお皮下内に入った炭酸ガスは、肺から呼吸によって体外へ出されますので、身体の中に蓄積するようなことはありません。
このタイプの効果は生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれている化学成分の働きと、独特な香りの働きからなりたっています。生薬はそれぞれ長い歴史の中から生まれ、その効果は医療薬として、日本ばかりでなく欧米でも高く評価されています。
また入浴剤に応用した場合にも血行促進効果や湯冷め防止効果等が認められており、そのメカニズムについて最近盛んに研究がなされ、徐々に解明されつつあります。もう1つの効果『香り』については、生薬に限らず最近“アロマテラピー(芳香療法)”が注目され、研究の対象になっています。
香りによるリラックス効果は脳波や心拍数等の測定により証明されつつあり、今後の研究成果が待たれるところです。
酵素は医薬品の消化剤や洗浄剤等によく利用されますが、人間はもちろん、微生物や植物などの生物の体の中で作られ、蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や 洗浄を助ける効果をもっています。
入浴剤に酵素を配合する目的は、皮膚に無理な刺激を与えずに清浄にし、他の成分と一緒に入浴効果を高めることにあります。人の皮膚表面の角質層は、外界の温度や刺激等から体を保護する働きを持っていますが、外界環境のチリや埃が皮膚表面で絡まって毛穴や皮膚の溝の中に入り込み、落ちにくい汚れとなっていることがあります。
酵素はこのような汚れに特異的に作用して、汚れを小さくしたり別の形に変えたりして洗い流し易くします。
その結果、浴後は清潔で滑らかな使用感をもたらします。
このタイプは、夏の入浴を快適にするためのもので、主にメントールを配合して冷感を付与させたものや、炭酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウムを配合し入浴後の肌をサッパリさせたものがあります。
また、お湯の色は青色を基調にしたものが多く、視覚的にも爽快感を付与しています。
このタイプは、保湿成分が入浴中に皮膚に吸着浸透し、スキンケアを行うものです。
特に冬の乾燥時は、入浴後過度に角層中の水分が失われ、お肌のかさつきが起こりやすくなっており、入浴剤によるスキンケアが重要となります。また入浴で膨潤したお肌は、保湿剤等の薬効剤が浸透し易い状態になっているため、保湿 成分が肌の表面に吸着するだけではなく、角層内部にまで浸透していきます。
その結果、入浴後はお肌がしっとり、すべすべになります。